○岡崎市総合政策指針

令和元年12月20日

議決

岡崎市総合政策指針を次のとおり定め、令和3年4月1日から施行する。なお、岡崎市基本構想(平成20年12月19日議決)は、令和3年3月31日限り廃止とする。

1 総合政策指針とは

総合政策指針とは、総合計画の基本的な方向性を示すもので、本市のあるべき「将来都市像」、その実現のための「基本指針」と「分野別指針」からなる政策指針、都市構造の概要を表す「グランドデザイン」により構成するものとします。

2 総合政策指針の期間

この総合政策指針は、令和32年度(西暦2050年)を目標年度とします。

3 将来都市像

「一歩先の暮らしで三河を拓く 中枢・中核都市おかざき」

目標年度には、国内屈指の製造業拠点である三河地域において、人口規模を増加・維持する取組が効果を発揮し、行政・学研機能や更なる商業機能の集積、新技術のまちづくりへの活用を通じて、利便性や先進性の高い暮らしが実現できる都市として三河地域の発展を牽引する役割を担っていることを目指します。

また、これを踏まえ、将来都市像では市域を基本としつつ広域圏を見据え、将来に向けては人口50万人を想定します。

4 基本指針

将来都市像の実現に向け、「公民連携による成長戦略の推進」「コンパクトな都市構造の構築」「まちへの誇りが育まれる社会づくり」「周辺都市との連携体制の推進」による、持続可能な都市経営を推進します。

(1) 公民連携による成長戦略の推進

市場性が見込まれる行政サービス領域について、民間の経済活動と行政が相互に補完し合うことを目指す取組をきっかけに、更なる市場機会の創出や地域経済の活性化を図るとともに、暮らしを楽しむまちとして市民や民間事業者に選ばれる都市の実現を目指します。

(2) コンパクトな都市構造の構築

今後の人口ピーク上昇・先送りを見据えたグランドデザインと、これに沿ったまちづくりへの投資・保全や都市の強靭化により、集約連携型都市の実現を目指します。

(3) まちへの誇りが育まれる社会づくり

本市に関係する誰もが活躍できる都市を実現するとともに、未来を担う子どもたちをはじめとする全ての世代が本市固有の資源を活用することにより、まちへの誇りが育まれる都市の実現を目指します。

(4) 周辺都市との連携の推進

三河各都市との役割分担において暮らしの拠点である特性を活かし、連携して広域的な共通課題の解決を推進することで、共に発展していくための拠点となる都市の実現を目指します。

5 都市のグランドデザイン

これまで本市は、ものづくり産業へ勤務する若年世帯の居住地やその生活を支える商業機能を中心としたサービス産業に携わる世帯への居住地を、主に周辺部における住宅開発や大規模な土地区画整理事業等により確保してきました。その結果、現在に至るまで市街地の拡大、人口の増加、高い出生率を維持することができました。また、近年は、主要駅周辺において、市民だけでなく来街者が暮らしの楽しみを実感できるエリアとして誘客資源の充実に向けた取組に着手し、その成果を得つつあります。

全国的には、平成20年(西暦2008年)以降人口減少期を迎えたことを背景に、人口減少局面にあっても持続可能なグランドデザインへの転換が始まっていますが、本市においては今後も若年世帯による市街地周辺部での高い住宅需要が見込まれています。加えて、リニア中央新幹線の名古屋開通に伴い、名古屋駅周辺での大規模再開発が予定されており、そのオフィスビルや商業ビルに勤務する若年世帯の居住を誘導できる可能性を有しています。また、現在の恵まれた交通ネットワークに加え、更なる広域交通機能の充実を見据えた高度都市化が期待されます。

そこで、過去から現在、現在から未来への連続性を見通しながら、高齢化社会への対応や、しなやかで強靭な都市の実現を視野に入れ、基本指針で掲げた「人口ピークの上昇・先送りを見据えたグランドデザイン」を設定します。

(1) 市域中心部

市域のなかでも都市機能が集積するエリアにおいては、三河を拓くおかざきにふさわしい、商業機能を中心とする都市機能の更なる集積を図りつつ、徒歩や公共交通によるまちなかの暮らしができるエリアとして居住を促進します。

ア 都市機能用地や居住地の確保と強靭化

エリア内の各特性を勘案した高度利用の促進、空き家の活用、立地に応じた都市農地の活用を複合的に組み合わせて高度都市化を促進するとともに、密集市街地においては、狭あい道路の解消を図ります。

イ 居住の促進

このエリアには、名古屋をはじめとする市外へ勤務する若年世帯や、このエリアの都市機能に勤務する若年世帯のほか、市街地周辺部に居住する高齢者世帯のうち中心部での便利な暮らしを求める世帯の居住(住み替え)を促進します。

(2) 市域周辺部

ア 居住地の確保

市域中心部での便利な暮らしを求める高齢者世帯の住み替えにより生じた居住地を、新たに居住地を求める若年世帯へ供給することで、市街地周辺部人口の若返りを促進します。

イ 産業用地の確保

経済活動の還流をより高めていくため、増産や拡張に起因する工場の市外流出抑制や新たな産業の誘致に向け、既存の土地利用との整合に留意して新たな産業用地の確保を促進します。

また、充実した交通ネットワークを活かした商業用地の確保・誘致を行うことで、来街者を呼び込むとともに新たな雇用創出を促進します。

ウ 自然環境の保全

市民や来街者が、自然環境を誘客資源として楽しみながらその恩恵を実感できるよう、保全を促進し、投資の誘導を図ります。

(3) コンパクト・プラス・ネットワーク

市域中心部と市域周辺部や、市内と周辺都市の交通ネットワークを見据えながら、通勤渋滞や休日渋滞の解消、高齢者の生活移動手段の確保、交通安全対策など、暮らしに直結する交通課題への対策と合わせ、公民連携して新技術の実装に取り組むことで、集約連携型都市の構築を図ります。

6 分野別指針

将来都市像の実現に向け、今から10年間の各分野における取組の方向性を示す分野別指針を以下に設定します。なお、いずれの分野においても先に定めた基本指針の全てを踏まえたものとなることを前提とします。

(1) 暮らしを支える都市づくり

集約連携型都市の実現に向けて、「しごと」に引き寄せられて集まってきた「ひと」の住宅需要に対応しつつ、暮らしの質を高める都市基盤が充実していく「まち」を目指します。

(2) 暮らしを守る強靭な都市づくり

市民を災害から守ることは、日本経済を支えるものづくり産業の強靭化に直結していることを念頭に、周辺都市を含む公民連携や都市基盤の老朽化対策と連動して、災害に強いまち、被災時もスピード感をもった復旧・復興ができるまちを目指します。

(3) 持続可能な循環型の都市づくり

環境・経済・社会の課題を踏まえ、公民連携して複数課題の統合的な解決を図る地域循環共生圏の枠組みの中で、排出CO2の削減、生物の多様性確保、健全な水循環、森林資源や農地の保全・活用がなされる持続可能なまちを目指します。

(4) 多様な主体が協働・活躍できる社会づくり

人口構成変化や年代別人口偏在に起因する担い手不足に負けない町内会の持続的な活動を新技術導入などにより支援しつつ、多様な主体が協働・活躍できる地域共生社会の実現による安全安心なまちを目指します。

(5) 健康で生きがいをもって活躍できる社会づくり

後期高齢者の急激な増加を迎える中にあっても、各主体が我が事として活躍する地域共生社会の実現により保健・医療・福祉・地域が一体となって取り組むことで、誰もが生きがいや役割を持って活躍できるまちを目指します。

(6) 女性や子どもがいきいきと輝ける社会づくり

3世代の同居・近居率の高さ、西三河製造業勤務世帯の多さなど、本市の特性を踏まえ、子育て世代の就労をはじめとする社会での活躍を支援することで、安心して楽しみながら子育てできるまち、子どもがのびのびと育つまちを目指します。

(7) 誰もが学び活躍できる社会づくり

今後、大きな社会変化が起こった場合も、新たな価値や将来を創り出すために、市民が自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、判断して行動し、それぞれに想い描く幸せや活躍を実現できるまちを目指すとともに、学校教育・社会生活の中でおかざき愛が育まれていくまちを目指します。

(8) 商業と観光が成長産業となる地域経済づくり

新技術の普及により生活利便性が著しく向上した社会にあっても、まちを楽しむ人が集う将来を見据え、観光と商業機能が連動した観光産業都市にふさわしい誘客資源が充実したまちを目指します。

(9) ものづくりが柱でありつづける地域経済づくり

産業の変革期や、労働力の不足が見込まれる社会にあっても、国内屈指の製造業拠点の一角を担うものづくり産業が科学や新技術と連携して地域経済の柱であり続けるまち、企業立地を促進するまちを目指します。

(10) スマートでスリムな行政運営の確立

全国的に先進性を有する公民連携、都市経営のスマート化、広域防災など共通課題の解決に向けた取組をきっかけとして、周辺都市との連携体制構築を図り、中枢中核都市として周辺都市を含めた地域全体の支えとなるまちを目指します。

岡崎市総合政策指針

令和元年12月20日 議決

(令和3年4月1日施行)

体系情報
第1編 規/第2章 基本構想
沿革情報
令和元年12月20日 議決