○岡崎市防災基本条例

平成24年10月3日

条例第45号

目次

前文

第1章 総則(第1条~第7条)

第2章 予防対策(第8条~第17条)

第3章 応急復旧対策(第18条~第22条)

第4章 復興対策(第23条)

第5章 他の被災地支援(第24条)

附則

本市は、東海地震防災対策強化地域及び南海トラフ地震防災対策推進地域に指定されており、これまで災害対策基本法、大規模地震対策特別措置法及び南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法に基づき地域防災計画を作成し、修正を重ね、地震対策を積極的に推進してきた。

しかしながら、想定される南海トラフ地震その他の大規模な地震が発生した場合、甚大な被害を受けるおそれがある。さらに、東日本大震災を受け、東海地震など南海トラフにおける巨大地震の規模及び震度も見直され、これにより被害の拡大も予想される。また、平成12年の東海豪雨や平成20年8月末豪雨では、ゲリラ豪雨と呼ばれる集中豪雨などにより、市民の尊い生命や貴重な財産を失うなど、未曽有の被害をもたらした。

こうした状況において、災害から生命、身体及び財産を守るためには、災害に強いまちづくりを最重要課題として位置付け、いつ発生するか分からない災害に備え、災害予防や減災対策などの施策を早急に実施し、継続していかなければならない。そして何より、地域社会における防災活動の基盤となる人と人との絆を大切にし、地域コミュニティの維持及び発展に取り組んでいかなければならない。

私たちは、自らのことは自らで守る「自助」、身近な地域で支え合う「共助」、行政が市民を支援する「公助」の理念を念頭に置き、市民、事業者、市及び議会が、それぞれの責務や役割を十分に理解し、一体となって災害に立ち向かう決意を明確に示すとともに、災害の予防、減災、応急復旧及び復興に係る対策に関する体制を整備し、施策の基本事項を定め、災害に強い、安全で安心なまちづくりを推進するため、ここにこの条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、災害の予防、減災、応急復旧及び復興に係る対策に関し、市民、事業者、市及び議会の責務及び役割を明確にするとともに、それらの対策の基本となる事項を定めることにより、市民の生命、身体及び財産を災害から守り、被害を最小限に軽減し、災害に強く安全で安心して暮らせるまちの実現を目指すことを目的とする。

(基本理念)

第2条 災害からの安全・安心を得るためには、行政による公助はもとより、市民一人一人の自覚に根ざした自助、身近な地域コミュニティ等による共助が大切であり、社会の多様な主体が協働して被害の軽減に向けた災害対策の仕組みを構築していかなければならない。

2 自らの身の安全は自らが守ることが防災の基本であり、全ての市民、事業者、市及び議会は、防災に関する基本的責務を有しており、その持てる能力を生かし、それぞれの責務を果たし、協働することにより、いつでも起こり得る災害による人的被害及び経済的被害を軽減するため、それぞれの主体が継続的な災害対策の充実及び強化に努めなければならない。

(地域防災計画への反映)

第3条 災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第16条第1項の規定により設置された岡崎市防災会議は、同法第42条第1項の規定により作成された岡崎市地域防災計画を修正する場合は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)を尊重するものとする。

(市民の責務)

第4条 市民は、基本理念にのっとり、平常時から災害に対する次に掲げる事項の実施に努めるとともに、災害の発生時には自らの身の安全を守るよう行動し、防災に寄与するよう努めるものとする。

(1) 災害時における初期消火、救難・救助、応急手当その他の初期活動を積極的に行うための準備

(2) 災害時における危険地域並びに避難の経路、方法及び場所並びに外出先からの帰宅方法並びに家族間の連絡方法の確認

(3) 市又は地域コミュニティによる災害対策活動への参加及び協力

(4) 防災情報の入手方法の確保及び防災訓練、講習会等への積極的かつ継続的な参加

(5) 災害に関する教訓及び先人からの災害に関する伝承の後世への継承

(6) 所有する建築物の耐震性の確認及びその結果に基づく耐震補強

(7) 地震による家具等の転倒及びガラス等の飛散を防止するための措置

(8) 災害時に必要な飲料水及び食料の備蓄

(9) 日用品、医薬品その他避難生活において必要となる物品等の確保

2 市民は、災害発生後災害復旧の推進及び支援活動に協力し、復興に努めるものとする。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、基本理念にのっとり、事業活動に伴う災害発生を防ぐとともに、社会的責任を自覚し、災害に備えるため、次に掲げる事項を実施するよう努めるものとする。

(1) 災害時における初期消火、救難・救助、応急手当、避難誘導その他の初期活動を積極的に行うための準備

(2) 事業所に来所する者(第21条において「来所者」という。)及び従業員並びに事業所の周辺地域における市民の安全の確保

(3) 市又は市民等(市民及び市民の組織する団体をいう。以下同じ。)による災害対策活動との連携及び協力

(4) 従業員の防災訓練、講習会等への積極的かつ継続的な参加

(5) 事業継続に係る計画の策定及び防災活動の推進並びに危機管理体制の整備

(6) 所有し又は管理する建築物の耐震性の確認及びその結果に基づく耐震補強

(7) 地震による機械設備等の転倒を防止するための措置

(8) 事業者として必要な飲料水及び食料並びに物資の備蓄

2 事業者は、災害発生後災害復旧の推進及び支援活動に協力し、復興に努めるものとする。

(市の責務)

第6条 市は、基本理念にのっとり、市民の生命、身体及び財産を災害から保護する防災の第一次的責務者として、被害を最小限に軽減するため必要な次に掲げる施策を講ずるとともに、総合的かつ計画的な防災行政の整備及び推進を図らなければならない。

(1) 災害時における水防活動、消防活動、救難・救助及び応急措置

(2) 高齢者等避難並びに避難の指示及び誘導並びに警戒区域の設定に関する情報の全ての市民に対する伝達

(3) 国、県及び他の地方公共団体並びに市民等と連携した災害対策の的確かつ円滑な実施

(4) 業務継続に係る計画の策定、防災活動の推進及び危機管理体制の整備

(5) 被災者支援のためのシステムの構築

(6) 市民の防災意識の高揚及び防災行動力の向上並びに自主防災組織の育成

(7) 災害時に迅速な応急対策を実施するための事業者、事業者団体及び他の地方公共団体との応援協定の締結の推進

(8) 市民等及び事業者に対する建築物の耐震診断及び耐震改修に関する指導及び支援並びに地震に対する安全性の確保に関する啓発及び知識の普及

(9) 所有し又は管理する建築物の地震に対する安全性の確保のための必要に応じた耐震診断及びその結果に基づく耐震改修の実施

(10) 管理する道路施設、河川施設、上下水道施設等の災害に対する安全性の確保

(11) 避難者等に必要な飲料水、食料その他の物資の備蓄

(12) 速やかな生活復興(災害が発生した場合において、被災前の地域コミュニティをできる限り維持しつつ、市民の生活の再建及び心身の回復並びに再度の災害の防止又は軽減を総合的に進めることにより、市民の生活の安定を図ることをいう。)のための多様な主体との協働による被災者支援の基盤の整備

2 市は、災害発生後災害復旧の推進及び支援活動において、市民等及び事業者の協力を得て、早期の復旧及び復興に努めなければならない。

(議会の責務)

第7条 議会は、市域並びに市民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、防災及び減災に関する調査及び研究を行い、市の災害対策への助言及び提言を行わなければならない。

2 議会は、国及び県の動向を踏まえつつ、地域の実情に合わせた市の防災対策の執行の監視及び評価に努めなければならない。

3 議会は、被災状況の把握及び市民等に対する情報発信に努めなければならない。

4 議会は、市並びに国及び県への災害復旧の推進並びに支援活動の実施及び調整を働きかけ、復旧及び復興に努めなければならない。

第2章 予防対策

(情報の収集及び提供)

第8条 市は、地震、豪雨等の自然現象の観測を実施し、防災のために必要な情報の収集及びその伝達方法の確保に努めなければならない。

2 市は、過去の災害事例の検証をするとともに、市域内において予想される災害に関し調査を行い、その結果を災害対策に反映させるよう努めなければならない。

3 市は、災害に備え、市民等及び事業者に対し、あらかじめ、避難所及び避難場所の位置等避難するために必要な情報を提供するよう努めなければならない。

4 市は、市民等及び事業者に対し、平常時から防災に関する必要な情報を提供するよう努めなければならない。

5 市は、市民等及び事業者に対し、速やかに、高齢者等避難並びに避難の指示及び誘導並びに警戒区域の設定に関する情報、被害の状況に関する情報、応急措置に関する情報等を提供するよう努めなければならない。

6 市民等及び事業者は、災害時に備え、防災に関する情報を自らが積極的に収集するよう努めるものとする。

(自主防災活動の推進等)

第9条 市は、市民及び事業者が、地域において自発的かつ組織的に行う防災に関する活動(次項において「自主防災活動」という。)を積極的に推進するため、防災リーダーの養成を始めとした支援及び協力を行うよう努めなければならない。

2 市民及び事業者は、自主防災活動を推進するため、その活動に積極的に参加し、又は協力するよう努めるものとする。

3 市は、災害時のボランティア活動が円滑に行われるよう、ボランティアコーディネーターの養成その他の支援を行うよう努めなければならない。

(要配慮者への配慮等)

第10条 市民等、事業者及び市は、災害時に備え、要配慮者(高齢者、障がい者、傷病者、乳幼児、妊婦、外国人、旅行者その他災害が発生した場合において避難等に配慮を要する者をいう。以下この条において同じ。)に配慮した対策に努めるものとする。

2 市民等及び市は、要配慮者の協力の下にその支援を行うために必要な情報の収集及び把握並びに当該支援を行うための体制の整備に努めるものとする。

3 避難所である施設の管理者は、要配慮者に配慮した施設の整備に努めるものとする。

4 市は、避難行動要支援者(災害対策基本法第49条の10第1項に規定する避難行動要支援者をいう。)について避難等の支援が円滑に実施されるよう、その支援に係る全ての関係者が連携して活動するための基盤を整備するよう努めるものとする。

(防災に関する教育)

第11条 市は、防災訓練、講習会等を積極的に行い、防災に関する知識の普及並びに市民等及び事業者の意識の高揚に努めなければならない。

2 市は、防災訓練、研修等により、職員の防災に関する能力の向上に努めなければならない。

3 市は、防災に関し、市民の理解を深め、活動を支える人材を育成するため、学校教育及び社会教育を通じ、知識及び行動を習得する教育の充実に努めなければならない。

4 事業者は、従業員に対し、防災訓練、講習会等に参加させることにより、防災に関する知識を習得する機会を提供するよう努めるものとする。

(防災訓練)

第12条 市は、市民等及び事業者と連携した防災訓練を積極的かつ計画的に行わなければならない。

2 市民は、地域コミュニティ及び市が行う防災訓練に積極的に参加するよう努めるものとする。

3 事業者は、地域コミュニティ及び市が行う防災訓練に参加し、又は連携するよう努めるものとする。

(浸水の防止等)

第13条 市は、豪雨による浸水を防止し、市民の安全を確保するために必要な対策を講ずるよう努めなければならない。

2 市、市民等及び事業者は、自らが設置し、又は管理する施設への浸水の防止に努めるものとする。

3 市民等及び事業者は、自らが所有し、又は管理する土地に隣接して設置された雨水ます、側溝等の清掃に努めるものとする。

(雨水の流出抑制)

第14条 市は、自らが設置し、又は管理する施設の敷地内に、雨水の流出を抑制するための施設を設置するよう努めなければならない。

2 市は、市民等及び事業者に対し、雨水の流出の抑制に関する啓発及び普及に努めなければならない。

3 市民等及び事業者は、自らが設置し、又は管理する施設の敷地内において、雨水の流出を抑制するために必要な対策を講ずるよう努めるものとする。

(土砂災害の予防)

第15条 市は、土砂災害から市民の安全を確保するために、県と連携し、危険の周知及び警戒避難体制の整備に努めなければならない。

2 市民等及び事業者は、土砂災害に関する認識を深め、災害の予防に努めるものとする。

(広告物等の落下防止等)

第16条 市は、建築物等の屋外に面している窓ガラス、壁面タイル、広告物、広告板等(次項において「落下対象物」という。)の落下防止並びに道路に沿って設けられているブロック塀、自動販売機等(次項において「転倒対象物」という。)の転倒防止の促進に努めなければならない。

2 市民等及び事業者は、その所有又は管理に係る落下対象物の落下及び転倒対象物の転倒を防止するとともに、これらの定期的な点検を実施するよう努めるものとする。

(文化財の保護)

第17条 市は、平常時から市内において保存されている文化財の実態を把握するとともに、市民等、事業者及び文化財の所有者並びに国、県及び専門家と連携し、文化財を災害から守る体制の整備に努めなければならない。

第3章 応急復旧対策

(応急復旧措置)

第18条 市は、災害が発生した場合においては、災害による被害の軽減対策及び迅速な応急復旧措置を行うための体制を確立し、市民等及び事業者の協力を得て、国、県及び防災関係機関とともに必要な措置を講じなければならない。

2 市民等及び事業者は、災害が発生した場合においては、相互に協力し、初期消火、被災者の救難・救助その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

3 医療、建築、廃棄物処理等の専門的な知識又は技術を有する事業者は、第1項の規定により市が講ずる措置に積極的に協力するよう努めるものとする。

(避難対策)

第19条 市は、食料、毛布その他の被災した市民の生活に必要な物資の確保及び飲料水の供給のために必要な対策を講じなければならない。

2 市は、避難所及び避難場所の確保並びに仮設住宅の建設等のための用地に関する情報の管理に努めなければならない。

3 市民は、防災関係機関等からの災害に関する情報に留意し、危険を認知したときは自主的に避難するとともに、市からの高齢者等避難及び避難の指示に関する情報の提供があったときは、速やかにこれに応じるものとする。

4 市民は、前項の避難を迅速かつ円滑に行うため、平常時から避難所及び避難場所の所在並びに避難経路を確認しておくよう努めるものとする。

5 市民等は、相互に協力し、避難所を円滑に運営するよう努めるものとする。

(緊急輸送の確保)

第20条 市は、警戒宣言が発せられた場合又は災害が発生した場合においては、消火、被災者の救難・救助その他の応急対策を的確かつ円滑に実施するための緊急輸送(次項において「緊急輸送」という。)を確保するため、道路啓開及び車両等の調達に関し対策を講ずるとともに、国、県、他の地方公共団体及び関係団体との調整を行い、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

2 市民等及び事業者は、警戒宣言が発せられた場合又は災害が発生した場合においては、自動車の使用を自粛する等緊急輸送の確保に協力するよう努めるものとする。

(帰宅困難者への支援)

第21条 市及び事業者は、警戒宣言が発せられた場合又は災害が発生した場合においては、通学する者、来所者、従業員、旅行者等の円滑な帰宅又は留め置きのために必要な対策を講ずるよう努めるものとする。

(自主防災組織等への支援)

第22条 市は、災害が発生した場合においては、自主防災組織等(自主防災組織及びボランティア組織をいう。以下この条において同じ。)による被災者への支援活動の円滑な実施を支援するため、活動拠点の提供及び情報の共有に努めなければならない。

2 市民、事業者及び市は、災害が発生した場合においては、自主防災組織等による活動に対して必要な協力をするよう努めるものとする。

3 市は、災害が発生した場合においては、関係機関と連携し、自主防災組織等の活動が円滑に行われるようその受入体制の整備に努めなければならない。

第4章 復興対策

第23条 市及び議会は、災害により甚大な被害を受けた場合においては、市民等及び事業者と協力して、復興の基本的な方向を検討するよう努めるものとする。

2 市は、前項の基本的な方向に基づき復興方針及び復興計画を策定するとともに、国、県、他の地方公共団体及び関係機関と連携し、被災地の速やかな復興に努めなければならない。

3 市民等及び事業者は、災害により甚大な被害を受けた場合においては、相互に協力して速やかな生活及び事業の再建並びに被災地の復興に努めるものとする。

4 市民等及び事業者は、市が実施する計画的な復興事業の推進に協力するよう努めるものとする。

第5章 他の被災地支援

第24条 市は、必要に応じ、大規模災害(災害救助法(昭和22年法律第118号)の適用を受けた災害又はそれに準ずるものをいう。次項において同じ。)の被災地及び被災者への支援に努めなければならない。

2 市は、大規模災害が発生した場合においては、被災地の被害の軽減対策及び迅速な応急復旧措置を行うための支援体制を確立し、市民等及び事業者の協力を得て、国、県及び防災関係機関とともに必要な措置を講じなければならない。

この条例は、公布の日から施行する。

(平成26年3月27日条例第1号)

この条例は、公布の日から施行する。

(令和3年12月20日条例第41号)

この条例は、公布の日から施行する。

岡崎市防災基本条例

平成24年10月3日 条例第45号

(令和3年12月20日施行)

体系情報
第10編 市民生活/第6章 災害対策
沿革情報
平成24年10月3日 条例第45号
平成26年3月27日 条例第1号
令和3年12月20日 条例第41号