○岡崎市自然環境保全条例
平成20年3月28日
条例第22号
目次
第1章 総則(第1条~第6条)
第2章 健全な生態系の確保(第7条~第19条)
第3章 自然とのふれあいの推進(第20条~第23条)
第4章 市民協働による推進(第24条~第27条)
第5章 保全体制の整備(第28条~第30条)
第6章 公表(第31条)
第7章 雑則(第32条)
第8章 罰則(第33条~第36条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、本市のかけがえのない自然環境の保全及び創出について、市民、事業者及び市の責務を明らかにするとともに、市民との協働により施策の総合的な推進を図り、もって現在及び将来の市民の健康で快適な生活の確保に寄与することを目的とする。
(用語の定義)
第2条 この条例において「自然環境の保全及び創出」とは、自然環境が損なわれることを防止するとともに、その回復及び再生並びに質の向上を図り、多様な生物が生息し、又は生育する状態が確保されることをいう。
(市民の責務)
第3条 市民は、自然環境の保全及び創出について、自ら努めるとともに、市が実施する施策に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第4条 事業者は、事業計画の策定及び事業活動を行うに当たっては、自然環境の保全及び創出について適切に配慮するとともに、市が実施する施策に協力しなければならない。
(市の責務)
第5条 市は、自然環境の保全及び創出のために必要な施策を総合的に推進しなければならない。
2 市は、市民及び事業者と協働して自然環境の保全及び創出に努めなければならない。
3 市は、地域の開発及び整備その他の施策の策定及び実施に当たっては、自然環境の保全及び創出について適切に配慮しなければならない。
(国、県等への要請)
第6条 市長は、自然環境の保全及び創出のために必要があると認めるときは、国、県その他の関係行政機関の長に対し、必要な措置を講ずるよう要請するものとする。
第2章 健全な生態系の確保
(自然環境保護区)
第7条 市長は、次の各号のいずれかに該当する区域のうち、当該区域内における生物及び生態系を保護することが特に必要と認めるものを岡崎市自然環境保護区(以下「保護区」という。)として指定することができる。
(1) その区域内に生存する動植物を含む自然環境が優れた状態を維持している森林、河川、池沼、湿地等の区域
(2) 貴重な野生動物が生息している区域又は貴重な植物が自生している区域
(3) 前号の区域における動植物の生息又は生育に関して、特に重要な影響を及ぼす区域
2 次に掲げる区域は、保護区の区域に含まれないものとする。
(1) 自然公園法(昭和32年法律第161号)第2条第1号に規定する自然公園の区域
(2) 自然環境保全法(昭和47年法律第85号)第14条第1項の規定により指定された原生自然環境保全地域及び同法第22条第1項の規定により指定された自然環境保全地域
(3) 自然環境の保全及び緑化の推進に関する条例(昭和48年愛知県条例第3号)第20条第1項の規定により指定された愛知県自然環境保全地域
3 市長は、保護区の指定をしようとするときは、あらかじめ、岡崎市環境基本条例(平成17年岡崎市条例第139号)第23条に規定する岡崎市環境審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴かなければならない。この場合において、次条第1項に規定する保全計画の案についても、併せて、その意見を聴かなければならない。
4 市長は、保護区の指定をしようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、その旨を公告し、その案を当該公告の日から2週間縦覧に供しなければならない。
6 市長は、前項の規定により縦覧に供された案について異議がある旨の意見書の提出があったときは、審議会の意見を聴かなければならない。
7 市長は、保護区の指定をするときは、その旨及びその区域を告示しなければならない。
8 保護区の指定は、前項の規定による告示によってその効力を生ずる。
(保全計画)
第8条 市長は、保護区に関する保全計画(保護区における自然環境の保全のための規制又は施設に関する計画をいう。以下同じ。)を決定するものとする。
2 保全計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 保全すべき自然環境の特質その他当該保護区における自然環境の保全に関する基本的な事項
(2) 当該保護区における自然環境の保全のための規制に関する事項
(3) 当該保護区における自然環境の保全のための施設に関する事項
3 市長は、保全計画を決定したときは、その概要を告示しなければならない。
(保護区における行為の許可等)
第9条 保護区内において、次に掲げる行為をしようとする者は、市長の許可を受けなければならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行うときは、この限りでない。
(1) 動物を捕獲し、殺傷し、若しくは放ち、又は動物の卵を採取し、損傷し、若しくは放つこと。
(2) 木竹を伐採し、若しくは植栽し、又は損傷すること。
(3) 木竹以外の植物を採取し、若しくは植栽し、又は損傷すること。
(4) 建築物その他の工作物を新築し、改築し、又は増築すること。
(5) 宅地を造成し、土地を開墾し、その他土地の形質を変更すること。
(6) 鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。
(7) 水面を埋め立て、又は干拓すること。
(8) 河川、池沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。
(9) 保護区ごとに保全計画で指定する河川、池沼、湿地又はこれらに流水が流入する水域若しくは水路に、排水設備を設けて汚水又は廃水を排出すること。
(10) 広告物その他これに類する物を掲出し、又は設置すること。
(11) 家畜を放牧すること。
(12) 屋外において物を集積し、又は貯蔵すること。
(13) 火入れ又はたき火をすること。
(14) 前各号に掲げるもののほか、保護区における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがある行為で規則で定めるもの
2 前項の許可には、当該保護区の自然環境を保全するために必要な限度において、条件を付することができる。
4 保護区内において、非常災害のために必要な応急措置として第1項各号に掲げる行為をした者は、その行為をした日から起算して2週間以内に、市長にその旨を届け出なければならない。
(1) 保護区に関する保全事業の執行として行う行為
(2) 通常の管理行為又は軽易な行為のうち、保護区における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので規則で定めるもの
(許可の取消し)
第10条 市長は、前条第1項の許可を受けた者について、偽りその他不正の手段により当該許可を受けたことが判明したときは、その許可を取り消すことができる。
(指定希少野生動植物種)
第12条 市長は、市内に生息し、又は生育する野生動植物の種(亜種又は変種がある種にあっては、その亜種又は変種とする。以下同じ。)のうち、次の各号のいずれかに該当し、特に保護する必要があると認める種(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成4年法律第75号)第4条第3項に規定する国内希少野生動植物種及び同法第5条第1項に規定する緊急指定種を除く。)を岡崎市指定希少野生動植物種(以下「指定希少種」という。)として指定することができる。
(1) 本市において、その種の存続に支障を及ぼす程度にその種の個体の数が著しく減少している野生動植物の種
(2) 本市において、その種の個体の主要な生息地又は生育地が消滅しつつある野生動植物の種
(3) 本市を除く地域において、その種の存続に支障を及ぼす程度にその種の個体の数が著しく減少している野生動植物の種であって、本市においてその種の個体が認められるもの
2 市長は、指定希少種の指定をしようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。
3 市長は、指定希少種を指定するときは、その旨を告示しなければならない。
4 指定希少種の指定は、前項の規定による告示によってその効力を生ずる。
5 市長は、指定希少種の個体の生息又は生育の状況の変化その他の事情の変化により指定の必要がなくなったと認めるときは、指定を解除しなければならない。
(捕獲等の制限)
第13条 何人も、指定希少種の生きている個体(卵及び種子を含む。以下同じ。)の捕獲、採取、殺傷又は損傷(以下「捕獲等」という。)をしてはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当するもので、規則で定めるところにより、あらかじめその旨を市長に届け出た者は、この限りでない。
(1) 教育又は学術研究のための捕獲等で指定希少種の保護に支障を及ぼすおそれがないもの
(2) 個体の保護のための移動又は移植を目的とした当該個体の捕獲等
(3) 前2号に掲げるもののほか、規則で定めるもの
2 前項の規定に違反して捕獲等をされた指定希少種の個体は、譲渡し若しくは譲受け又は引渡し若しくは引取りをしてはならない。
(指定移入種)
第14条 市長は、国外又は国内の他の地域から野生生物の本来の移動能力を超えて、人為によって導入された動植物の種で、市内において生態系、人の生命若しくは身体又は農林水産業に係る被害を及ぼし、又は及ぼすおそれのある種(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(平成16年法律第78号)第2条第1項に規定する特定外来生物(以下「特定外来生物」という。)を除く。)を岡崎市指定移入種(以下「指定移入種」という。)として指定することができる。
2 市長は、指定移入種の指定をしようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。
3 市長は、指定移入種の指定をするときは、その旨を告示しなければならない。
4 指定移入種の指定は、前項の規定による告示によってその効力を生ずる。
5 何人も、指定移入種をみだりに放ち、又は植栽し、若しくはその種子をまくこと(以下「放逐等」という。)をしてはならない。
6 市長は、指定移入種の個体の生息又は生育の状況の変化その他の事情の変化により指定の必要がなくなったと認めるときは、指定を解除しなければならない。
(中止命令等)
第16条 市長は、次に掲げる者に対し、当該行為の中止を命じ、又は相当の期限を定めて原状回復を命じ、若しくは原状回復が著しく困難である場合に、これに代わるべき必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。
(1) 第9条第1項の規定に違反した者
(2) 第9条第2項の規定により許可に付された条件に違反した者
(3) 前条の規定による勧告に従わない者
(保護区外における開発行為に対する助言又は指導)
第17条 市長は、保護区以外の区域において、開発行為であって規則で定めるものを行う者に対して、自然環境の保全のために必要があると認めるときは、施行計画、施行方法等について必要な助言又は指導をすることができる。ただし、次に掲げる区域については、この限りでない。
(1) 第7条第2項各号に掲げる区域
(2) 都市緑地法(昭和48年法律第72号)第12条第1項の規定により定められた特別緑地保全地区
(報告、検査等)
第18条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、次に掲げる者から、当該行為の実施状況その他必要な事項について報告を求め、又は職員に、当該行為に係る土地の区域内若しくは建物内に立ち入り、当該行為の実施状況を検査させ、若しくは当該行為の自然環境に及ぼす影響を調査させることができる。
(1) 保護区内において、第9条第1項各号に掲げる行為を行っている者
(2) 指定希少種を飼養し、栽培し、又は保管している者
(3) 指定移入種を飼養し、栽培し、又は保管している者
(4) 前条に規定する開発行為であって規則で定めるものを行っている者
2 前項の規定により立入検査等をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入検査等の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(保護措置等)
第19条 市は、指定希少種の保護、指定移入種及び特定外来生物による在来種及び生態系への影響の防止その他多様な生物が生息し、又は生育する状態を確保するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
第3章 自然とのふれあいの推進
(ふれあいの機会)
第20条 市は、自然とのふれあいを通して市民の自然環境の保全及び創出に対する意識の高揚を図るため、自然とのふれあいの機会を設けるよう努めなければならない。
(自然ふれあい地区)
第21条 市長は、市民と自然とのふれあいを促進するため、身近で良好な自然環境を有し、市民が自然とふれあえる区域を岡崎市自然ふれあい地区(以下「ふれあい地区」という。)として指定することができる。
2 第7条第7項の規定は、ふれあい地区の指定並びに当該地区の区域の変更及び解除について、それぞれ準用する。
3 市は、ふれあい地区の環境整備に努めるとともに、市民と協働して当該地区の自然環境の保全及び創出を図り、その活用に努めるものとする。
4 市民及び事業者は、ふれあい地区の自然環境の保全及び創出に配慮しなければならない。
(自然体験学習施設)
第22条 市は、自然とのふれあい及び自然体験を通して、市民の自然環境の保全及び創出について学習する機会が確保されるよう自然体験学習施設の整備に努めるものとする。
(自然体験学習指導者)
第23条 市は、自然とのふれあい及び自然体験を通した環境学習を推進するため、自然体験学習において指導的な役割を担うことができる自然体験学習指導者の育成に努めるものとする。
第4章 市民協働による推進
(普及啓発)
第24条 市は、自然環境の保全及び創出の必要性について市民及び事業者の認識を深めるとともに、自発的な自然環境の保全活動が促進されるよう普及啓発に努めなければならない。
(自然環境保全活動団体)
第25条 市長は、自然環境の保全及び創出に資する活動を行う市民又は事業者の組織する団体を、自然環境保全活動団体(以下「活動団体」という。)として認定することができる。
2 前項の規定による認定を受けようとする団体は、規則で定めるところにより、その旨を市長に申請しなければならない。
3 市長は、申請の内容が、規則で定める要件を満たすときは、当該団体を活動団体として認定し、自然環境の保全活動に関する情報の提供その他の活動に対する支援に努めるものとする。
4 活動団体は、申請した事項に変更があったときは、規則で定めるところにより、その旨を市長に届け出なければならない。
5 市長は、認定を受けた活動団体について、規則で定めるものに該当するときは、その認定を取り消すことができる。
(市民意見)
第26条 市長は、自然環境の保全及び創出に関する施策の策定及び実施に当たっては、市民及び事業者の意見を尊重するものとし、必要と認める場合は、当該意見を市の施策に反映させるよう努めるものとする。
(自然環境保全推進員)
第27条 市に、市民に対する自然環境の保全及び創出並びに野生動植物の保護に関する知識の普及並びに自然環境の保全活動の啓発及び促進を図るため、自然環境保全推進員を置く。
第5章 保全体制の整備
(調査研究)
第28条 市は、保護区及び指定希少種の指定並びに指定移入種及び特定外来生物の対策等に資するため、市内の生物の生息又は生育状況等の把握に努めるとともに、自然環境の保全及び創出に関する施策の策定に必要な調査研究に努めなければならない。
(自然環境監視員)
第29条 市に、保護区における野生動植物並びに市内における指定希少種及び移入種の生息又は生育状況の監視並びに指定希少種の捕獲等及び指定移入種の放逐等の違反行為の監視、報告及び違反者に対する指導を行わせるため、自然環境監視員を置く。
(実地調査)
第30条 市長は、自然環境の保全及び創出に係る施策の策定及び実施において実地調査の必要があると認めるときは、職員に、他人の土地に立ち入り、調査をさせることができる。
3 土地の所有者又は占有者は、正当な理由がない限り、第1項の規定による立入り又は調査を拒み、又は妨げてはならない。
第6章 公表
(違反者の公表)
第31条 市長は、第16条の規定による中止命令等に違反する者があるときは、違反者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)並びにその違反の事実を公表することができる。
2 市長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、公表の対象となる者に対して、意見を述べる機会を与えなければならない。
第7章 雑則
第8章 罰則
附則
この条例は、平成20年10月1日から施行する。